歯周病治療
歯周病とは
歯周病は細菌による炎症性の疾患です。罹患すると歯肉が腫れたり、出血が起きたりします。その段階では痛みや不快感はありませんが、少しずつ歯根膜や歯槽骨を破壊していくのが特徴です。重症になると、歯がぐらついたり、口臭がきつくなったりすることもあります。糖尿病や心疾患など全身の疾患にも関係しているため、トラブルのない内から早期に対応するようにしましょう。当院は治療と予防の両側面から歯周病に負けない口腔環境づくりをサポートいたします。まずは一度検査を受けて、ご自身のお口の現状を把握することが大切です。
歯周病の進行段階
-
Step01
第一段階【歯肉炎】
歯垢が口腔内に溜まると細菌の影響で歯ぐきに炎症が起こり、赤く腫れるようになります。歯と歯ぐきの間には約2~3㎜のすき間(歯周ポケット)が形成されます。
-
Step02
第二段階【軽度歯周炎】
歯肉炎が悪化すると歯周ポケットが深くなります。汚れや細菌も溜まりやすい状態です。歯周病菌の影響により歯槽骨が溶け始めます。
-
Step03
第三段階【中等度歯周炎】
歯槽骨が半分程度溶けて、指で歯を押すとグラグラと動くようになります。歯ぐきの炎症や出血も悪化し、口臭も引き起こすのが特徴です。歯根膜がダメージを受けている場合は、歯が浮いたような感覚も症状として現れます。
-
Step04
第四段階【重度歯周炎】
歯槽骨のほとんどが失われ、歯を支えること自体が難しい状態です。歯根部分に膿が溜まっているため、歯ぐきを押すと漏れ出すときもあります。最終的に歯が抜け落ちるリスクもあります。
歯周病と全身疾患の関係
心臓血管疾患
歯周病が続くと、歯茎の血管を通って歯周病菌が全身を巡ります。歯周病菌が心臓に送られると、心内膜炎に感染するリスクが高まります。また血管に取り付くと、血栓を形成しやすくなるのも特徴です。結果的に動脈硬化を引き起こしやすい状態が続き、狭心症や心筋梗塞の発症リスクを高めると言われています。
糖尿病
人間の体はストレスがかかったり、食事をとったりした後は血糖値が上がります。そのままの状態が続くと、血管にダメージが蓄積しますが、すい臓で作られるインスリンによって血中の糖濃度は少しずつ下がります。しかし歯周病が重症化すると、体内のインスリンの分泌を抑えたり、糖の代謝を妨げたりすることが明らかになってきました。歯周病は糖尿病の重症化を促進し、さまざまな合併症の生じるリスクを高めてしまうのです。
誤嚥性肺炎
普段食道に送られる飲食物が、誤って気管に入ってしまうことを誤嚥と呼びます。そして、誤嚥性肺炎とは、誤嚥が生じた際にお口の中の細菌によって、肺炎を引き起こしてしまうことです。つまりお口の中に細菌が多ければ多いほど、誤嚥性肺炎になるリスクは高まります。特に年を取ると舌や喉の筋肉が衰え、誤嚥になりやすい状況が続くので、適切にクリーニングを行って、お口の中を細菌の少ない状態にキープすることが大切です。
むし歯・歯周病を引き起こす
”バイオフィルム”
バイオフィルムとは
口腔内の歯垢(プラーク)のように、細菌が繁殖すると、菌体外粘性多糖体(グリコカリックス)と呼ばれる集合体を形成します。いわゆる「バイオフィルム」と呼ばれる現象です。バイオフィルムは、食後6~8時間過ぎから少しずつ作られていき、72時間後には歯磨きでは取り除けないレベルの集合体が形成されます。放っておくとむし歯や歯周病を引き起こすことから、歯科医院でバイオフィルムを徹底的に取り除かなければなりません。
バイオフィルムを放置してしまうと…
バイオフィルムを放置するとブラッシングではなかなか取り除けなくなります。また、バイオフィルムの膜によって抗体や抗菌剤が歯周組織に十分浸透しなくなるのです。バイオフィルムを取り除かない限りは、どんなに歯磨きを頑張っても歯周病リスクは高いままです。頑張って歯を磨いているのに、歯茎が痩せたり、顎の骨が減ったりします。セルフケアの効果を高めるためにも歯科医院で徹底的にバイオフィルムを除去しましょう。
当院で行っている歯周病治療
スケーリング
歯に形成された歯石を「スケーラー」と呼ばれる器具で削り取る処置です。特に歯と歯茎の間にある歯周ポケット内には、歯垢や歯石がどんどん蓄積します。歯周ポケットの奥深くまでは歯ブラシが届かないので「フック状」のスケーラーで、細菌に汚染された組織も含めて少しずつ汚れを取り除きます。歯周病が初期段階ならば、スケーリングによるプラークコントロールだけでも症状の改善が期待できます。
ブラッシング指導
当院では一人ひとりの患者さまのお口の状況に合わせて、歯科衛生士が適切なブラッシング指導を行います。歯磨きの指導というと小児歯科だけで行うものと思われがちですが、実は成人の方でも正しく歯を磨けている人はほとんどいません。お口の状態を正しく認識し、適切なブラッシングに改善することは非常に重要です。
ブラッシング指導が効果的な理由
-
歯磨きのポイントを理解できる
乳歯や永久歯には汚れやすいポイントがあります。そのためブラッシング指導を行えば、むし歯や歯周病になりやすい箇所を重点的に磨けるようになるのです。
-
自分に合った歯磨きができるようになる
ブラッシング指導は、単純に正しい歯磨きの方法をレクチャーするだけではありません。一人ひとりに合わせて、適切な歯ブラシや清掃器具の選び方もアドバイスできるので、効果的なセルフケアに結びつきます。
-
磨き癖を見つけることができる
患者さまは一人ひとり独自の「磨き癖」を持っています。具体的には、磨き方に左右差が見られたり、力を入れすぎて歯茎が傷ついていたりなどです。ブラッシング指導はこのような癖をご自身で認識できるようになるので、少しずつセルフケアのレベルが向上します。
PMTC
PMTCとは、歯科医師や衛生士といった専門家が、専用の器械を使用して歯をクリーニングすることです。歯や歯肉を傷つけずに、セルフケアでは取り除けない汚れ(バイオフィルムやコーヒー・紅茶などで生じたステインなど)をクリーニング。患者さまご自身が本来持っていた健康的で美しい歯を取り戻す効果が期待できます。また施術後は表面がツルツルになるので、汚れが付きにくくなり、サッパリと爽快な気分になります。
PMTCで得られる効果
- 歯を丈夫にすることができる
- むし歯を予防することができる
- 歯周病・歯肉炎の予防、改善ができる
- 歯の審美性を向上させることができる
PMTCの流れ
-
Step01
お口の状態を確認
毎日の歯磨きでブラッシングができていない箇所を確認します。
-
Step02
歯石除去及び、歯の着色落とし
超音波が発生する装置を利用して固い歯石を取り除いていきます。その後、丁寧に細かな歯石を除去。次に炭酸カルシウムが配合されたパウダーを用いて、歯の着色汚れを落としていきます。
-
Step03
歯とお口の洗浄
研磨剤が配合された特別なペーストで歯をクリーニングしていきます。歯の表面だけではなく、付け根、歯間などは、汚れが溜まりやすい部位なので特に丁寧に清掃します。また患者さまのお口の状況に合わせて、歯間ブラシやデンタルフロスを併用するのも特徴です。
-
Step04
フッ素塗布
歯面の汚れを除去した後、むし歯予防のため、歯を強化するフッ素を塗ります。